採集記 2002年 6月16日(日)  山梨県


今日は父の日。
家族で公園にでも行って、夕食をどこかで食べようということになっていた。
ところが昨日の夜、山梨の友人のTAKから「息子と二人でオオクワ♂52mmと♀42mmを採集した!」という衝撃的なメールが届いた。
うらやましぃ〜
朝、早速お祝いの電話を入れた。
場所は以前いっしょに行った所だ。
そもそもそのポイントは、クワ友のYP君から教えてもらった所だ。
電話を切った後ずっとオオクワガタのことが頭から離れなかった。
そしてついに家族に提案してしまった。
「みんなでオオクワガタを採りに行こう!」
かみさんは「えっ、マジで?」といった反応だったが、子供たちは喜んでくれた。
それに採集ポイントの近くにはかみさんの友だちもいるので「会えるじゃないか」などと勝手に口実を押し付けた。(^_^;)
とにもかくにも「父の日家族でオオクワガタ採集」が決定した。

出発したのは1時半を回っていた。


【ポイント1】


山梨ならどこにでもあるクヌギ林。
YP君に教えてもらって以来何度か来ているが、樹液が出ている木を見たことがないので今シーズンは足が遠のいていた。
でも、昨日TAK親子が採集したと聞いて今日はすべてのクヌギをチェックすることにした。
相変わらずカラカラで、コクワがいる気配さえ感じられない。
家族もぞろぞろと林の中をうろついている。(^_^;)
そして、とあるクヌギを覗いてみると・・・
  
左の円内の所に樹液がわずかに出ていてコクワが数匹集まっていた。
右の円内の奥を覗いてみる。

「ムムッ!? コクワ以外の甲虫だなぁ・・・ コカブトではないし、マイマイカブリかオサムシかキマワリか?」などといろいろなことが頭をかけめぐる。
さらに目を皿のようにして見てみる。
背中の点刻がはっきり見えた。
「オオクワの♀だ、間違いない。」
しかし、奥に入り組んだ狭い洞なので採るのはむずかしそうだ。
しばらくするとオオクワが動き出して頭が見えた。
「ありゃりゃ、なんてこった、♂だ・・・小さ〜い」 (^_^;) (^_^;)
そばにいた長女にも見せてあげた。
「わ〜、ほんとだ!」
小さくてもオオクワはオオクワ。しっかり採らなきゃ。
掻き出し棒でチョイチョイと突っついてやるとコクワのようにヒョコヒョコと出てきて難なくゲット!
 ネブトクワガタではありません。これでもオオクワガタです。 (^_^;)
コクワ並の44mm。 採集時刻4時。
自分がはじめて採集するオオクワは、きっと小さいサイズだろうと想像していたが、ほんとに現実になってしまった。
人から聞いたポイントだし44mmということで、「っしゃあ〜!」と雄叫びを上げるほどではなかったがオオクワはオオクワ。
しかも長女の目の前で採集したということで、ほのぼのとした雰囲気での初ゲットとなった。 (^。^)

それにしても、ほかのポイントでもっと樹液が出ていてすごい木がいっぱいあるのにどうしてここに・・・
立派な台場クヌギならいいってもんじゃないということがよくわかった。


【ポイント2】

6月6日のポイント1

樹液がほんのわずか出ていて、いたのはスジ君。
このクヌギはオオクワが来てもおかしくないとは思っているのだが。


ここでかみさんと子供たちは一時友だちの家に遊びに行くことになった。
といっても明日は学校なので早めに東京まで帰らなければならない。
一人で採集できる時間はわずかだ。


【ポイント3】

毎年来ているポイントへ久々に行ってみた。

一瞬、ドキッとしたがノコ♀とスジ♀だった。
樹液が出ている木はけっこう多い。


【ポイント4】

6月6日のポイント2
期待のポイントなのだが相変わらずコクワオンリー


【ポイント5】

6月6日のポイント3

懐中電灯を照らした途端、誰が見ても一発でオオクワとわかるクワガタが見えた。
1998年に一人で見つけ、毎年注目してきたクヌギだ。
「やっとオオクワに会えた」
今まで数多くのコクワをオオクワと見間違えてきたが、今度こそは間違いない。
「洞に逃げられる・・・」
あわてて脚立をセットし、洞を小さい光でそっと照らすとすでにお尻を向けて中に入り込んでいた。
 この中にオオクワがいる。 すぐ下には樹液が流れている。

掻き出し棒で引き出そうとしたがその姿は完全に消えた。
洞の裏側にさらにすき間があるのだ。
「これは無理だ・・・しばらく待ってみよう」
5分ほど過ぎた。
再び覗いてみる。
アゴを前に向けて少し出てきている。
やっぱり100%オオクワだ。 サイズは55〜60mmはありそうだ。
しかし、少しの光や刺激ですぐに姿を消してしまう。
また数分間待つ。
携帯が鳴る。 かみさんからだ。
「どう? そろそろ帰りたいんだけど。明日学校だし。」
「わかってる。でも今オオクワガタと格闘中なんだ。」
「本当! じゃあもう少しだけね」
さらに数分間待つ。
ホタルの光がポツポツと舞っている。
オオクワは樹液を舐めたいようだが、俺がいるのを知っていてか外に出てこようとはしない。
再び携帯が鳴る。
「せっかくのチャンスでしょうけど、そろそろ・・・」
「わかってる・・・」
時刻は9時。オオクワを見つけて1時間経過している。
今日は家族がいっしょだし、あきらめよう。
証拠写真さえ撮れなかったが、しばらく居座ってくれることを信じて来週また来てみよう。
ここは10本程度のクヌギがあるだけで、樹液が出ている木はこの木しかない。
脚立を車に積み、後ろ髪引かれる思いとくやしさをかみしめながら家族のもとへ車を走らせた。

採集記を書いている今でもあのオオクワの後姿が目に焼き付いている。
残念だったが、自分で見つけたクヌギでようやくオオクワに会えたことは素直にうれしかった。
できるだけ通って何とか採集したいものだ。
 くやしいので洞の写真だけでも・・・  あの奥にいるのだ!


ふたたび【ポイント1】

夕方オオクワを採集したクヌギを見てみたが、いたのはこのお方だった。


たまには家族で行くのもいいかもしれない。
こんなに刺激的なこともあるのだから・・・。


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