採集記　２０００年６月５日（月）　埼玉県

衝撃的な結論を先に言わねばならない。

オオクワガタ♂大歯型６５ｍｍをＧＥＴした！

生まれて初めてだ。
心の底から喜びが爆発するはずだったが、意外と冷静だった。
「このクヌギ林にいるなんて、そんなばかな・・　誰かが放虫したとしか思えない。」
これが正直な気持ちだった。
しかし、時間が経つにつれ、「何を考えても天然か放虫かの証明などできない。
まぎれもない立派なオオクワじゃねえか。」と開き直ってくるとともに大きな喜びがわいてきた・・・。

この日は代休を取って、朝から埼玉県内のポイント開拓をすることにした。

朝６：３０　愛車ハイエース　レジアスで出発。

【Ｈ Ｉ.Ｃ付近の雑木林】
まず行くところは、１９９９年５月２６日にチェックした某ＩＣ付近だ。
Ｔ川沿いにクヌギ林が広がっている。


１９９９年５月２６日にここで採集した幼虫が、飼育下で予想通りコクワ（♀）になったので、
ふるさとへ帰してやりたかったのだ。

「どこで帰してやるのがいいかな？」と適当な場所を探すのだが、樹液が出ている木がほ とんどない。

川に近い日当たりのいい場所へ出ると、１本のクヌギの近くをタテハチョウがパタパタと
舞っている。
「しめた！樹液があるぞ！」
木に止まった所へ行くと・・・やっとクワガタがいた。

「よし、ちょうどいい。コクワのチビ♂だ。」
さっそく持ってきた♀を放す。

放されたコクワ♀（写真の下）はよっぽど腹が減っていたのだろう。
一目散に樹液へ近づくとすぐに吸い始めた。
チビ♂はこともあろうに会って間もない彼女の背中に回りこみ、いきなり口説き始めた。
しかし彼女は腹が減っていてそれどころではない。
チビ♂の愛を拒んだのである。
怒ったチビ♂はあごで追い払おうとした。
いくらフラれたといってもとんでもない野郎である。
しかし、よくよく見るとチビ♂はスジのような気がする。
口説いている最中に種類の違いを察知したのかもしれない。

チビたちのちちくりあいをいつまでも見ていても仕方がないので、ほかの有望な木を２〜３本
チェックして次のポイントへ向かうことにした。

【Ｈ Ｉ.Ｃから西へ１０分ほど行った公園】

ここは昆虫を大切にする公園である。
しかし、コナラが多く樹液が出ているクヌギは１本しかチェックできなかった。
真夏に来てみてどの程度いるか、といったところだった。

【高速道路沿いの林】

以前、高速道路を通りながらチェックしておいたクヌギ林に数ヶ所行ってみたが、雰囲気なし。

【Ｎ市内の雑木林】

ここはどこかのホームページに書いてあったので行ってみたが、車で入れるところ が見当たらず断念。

ああ、貴重な時間が過ぎていく・・・

【秋ヶ瀬公園】

広い公園で、クヌギが結構多い。
短時間でダーッと流しただけだが、樹液が出ていていい雰囲気のクヌギが何本かあった。
次回有望である。

【オオクワガタ♂大歯型６５ｍｍをＧＥＴした雑木林】

さて、例のポイントである。
ここは１９９９年から１０回以上通っているポイントだが、カブト、ノコが主役で、
脇役にコクワ、スジ、カナブン、オオスズメバチがいる程度のごくごく普通の
どこにでもあるクヌギ林で、洞らしきものもない。
つまり、オオクワガタの雰囲気など全く感じられないのである。
オオクワをＧＥＴしたこともないド素人の初心者の俺が言うのだから間違いない。（なんのこっちゃ）



そもそもここへ来た目的のひとつは、飼育して無事成虫になったチビノコ♂１頭と♀５頭を
放虫するためである。
確実にノコが生息するこの林がいいと思ったのだ。

ところがぎっちょんちょん、とんでもない結果となった。

夕方５時頃例のクヌギ林に到着し、「樹液は出てるかな？」と気楽にいつもの木を見た瞬間に
小さなくぼみからあの大あごが出ているではないか！
到着してから１分もたっていない。

「うそ〜」と独り言をつぶやき、一瞬呆然としたが、我に返りただちに採集にとりかかることにした。

しかし、くぼみにお尻をくっつけたまま出てきやしねえ。すごい力だ。
はじめてオオクワガタと格闘したが、結局１５分ぐらいかかってしまった。
深い洞だったら採集できなかったかもしれない。

手のひらに乗せ、早速体長を測ると６５ｍｍで、ピカピカの黒光りだった。




うれしいことはうれしいのだが、どちらかと言うと「そんなばかな・・」という気持ちの方が強かった。

その後、当初の目的通りチビノコたちを放した。
　


さて帰ろうかと思ったが、「待てよ・・　♂がいるってことは・・」
しかし、そう簡単にカップルが揃うわけがない。

「ここでこんな立派なオオクワが採れるはずがない」と確信しながら帰路についたが、
家に帰って妻子に見せると
「すごーい。良かったね。たとえ誰かが放したものだとしても採れたんだからいいじゃん。
　おめでとう。」と励ましてくれた。

確かに、とにもかくにも野外でオオクワを採集できたんだから素直に喜び、あとからうれしさが
どんどんこみ上げてきた。

今年中に必ず嫁さんを見つけるぞ！

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